名古屋大学大学院理学研究科 物質理学専攻および高等研究院 准教授 斎藤 進
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様々な官能基の触媒的水素化および脱水素化を可能とする新しい多機能性ルテニウム錯体の開発に成功した。本ルテニウム錯体は単結晶として純品を得ることができ、熱安定性に優れ固体であれば空気中でも保存できる。本ルテニウム触媒を用いる初期的な水素化や脱水素化の検討では高温(160°C以下)と高圧(60気圧以下)を必要としているが、今後の開発を経てより省エネルギーでの触媒反応へと展開できる可能性を大いに秘めている。

野依型触媒では不可能な各種官能基の水素化が可能となった。そのなかには各種カルボン酸誘導体(アミド、エステル、カルボン酸、炭酸エステル、ウレタン、ウレア)、ニトロ基、ニトリル基、ニトロソ基、イミン、キノリン、イソキノリン、インドール、ベンゾフラン、炭素ー炭素二重結合、炭素ー炭素三重結合などの水素化を含む。このように同一の触媒前駆体錯体から多機能性が発現し、多彩な用途に使えるという高機能性については、他の遷移金属錯体では全く明らかでない。

・ほぼ中性pH条件下でアミドを水素化。中性pH条件下におけるアミド基の脱保護の処方の提供
・触媒前駆体であるルテニウム錯体に作用させる添加物(塩基やそれ以外)を変えることによって触媒活性種の反応性をコントロール可能
・多彩な官能基の水素化に使えるため、様々な用途への展開が可能
・今後の可能性:バイオマス化合物群の水素化。無保護糖類(単糖やセルロースなど)の水素化などへの応用

・アルツハーマー型認知症抑制治療薬Aricept®のワンポット合成(4連続反応を一反応容器で行える。塩廃棄物なし)
・天然アミノ酸由来のバリノールを原料とするコレステロール合成酵素阻害剤Lipitor®のピロール環の1段階合成
・天然由来の各種脂肪酸エステルの水素化から長鎖飽和脂肪族アルコールを合成できる可能性あり
・ε‒カプロラクタムから高分子合成開始剤の原料「6‒aminohexanol」を合成できる可能性あり
・ω‒Laurinlactamの水素化によってω‒アミノアルコールを合成できる可能性あり
当日配布資料(1.04MB)
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